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命をかける

2014.06.27.Fri
IJETでは越前敏弥先生のセッションを拝聴しました。

翻訳文化の重要性を広く知ってもらうために、ご自身が取り組んでおられるさまざまな活動をご紹介くださったあと、セッション前夜に亡くなった東江一紀さんについて言及されました。

息を引き取られる数時間前まで、仕事をなさっていたそうです。仕事ができないからと、入院も拒否していたとのことでした。翻訳であることを感じさせない東江先生の翻訳作品は、越前先生も筆写、読み比べをたくさんなさったようです。越前先生ご自身のブログにも、詳細が掲載されました。http://techizen.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-73b7.html

東江先生のことを話す越前先生の声は一段と熱がこもったもので、そのお話しぶりから、越前先生もまた、命がけで翻訳に取り組んでおられるのだと感じました。

「翻訳の仕事をする目的」を誰かに聞かれたとき、明確に答えられるようにしておくのが大事とおっしゃったことが印象的でした。それが、翻訳文化そのものの価値を伝えることにつながるからと。わたしは、まだその辺をはっきりと意識化できていないかもしれないです。翻訳の作業そのものは、それをしないなんてことが考えられないほど自分の一部と化しているのですが。

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耳と心に刻む

2014.06.25.Wed
個人的に期すところあって、IJETに行ってきました。

2日間、朝から晩まで翻訳のことを考えて考えて、2日目の夕方には疲れ果ててもう限界でした。

セッションを聞いているだけでそうだったのに、セッション主催に参画して下さった方々、自らの考えを語って下さった方々は、どれほど大変だったか。どうもありがとうございました。

帰ってくるなりバタバタの日常。でも、聞いた内容は必ずや今後に生かしたいと思います。

誰のためのものなのか

2014.03.21.Fri
これが○日までで、あれが○日までで、いつまでに何をして、何が○日にあって・・・というのにセッセと対処していたら、あっという間に3週間も経ってしまった。早い~(涙)

「ダラス・バイヤーズクラブ」という映画を観てきた。終映日のレイトショーにすべりこみ。もう上映期間が過ぎてしまったところが多いので、今になってのご紹介で申し訳ありません。

男の名前はロン。ロデオと酒と女の日々をおくり、ある日ロデオで賭けをするが、負けると金を払わず逃げ、その日暮らしのトレーラーハウスに戻った瞬間に、膝から崩れ落ちる。病院のベッドで目覚めると、医師が彼に告げた。HIVの陽性反応が出て、余命30日であることを。有名俳優のロック・ハドソンがエイズであることが公表され、同性愛者しかかからない病気、そんな根拠のない噂が蔓延していた時代。同性愛者でもないのになぜ!?と納得できないロンは、図書館で新聞記事を閲覧し、情報を漁る。そして自分はエイズであるという真実がつきつけられる。生きたい欲求にかられた彼は、自分を診察した女性医師イブを訪ね、AZTという未承認の薬を処方してくれるように頼むが、断られる。そこで彼はメキシコへ渡り、毒性の強いAZTではなく、アメリカでは未承認だが効果がみこめる薬を国内に持ち込み、患者たちにさばき始める。彼に慈善の心などなかった。素行が悪く、ゲイ・コミュニティーに嫌悪感を持つロンが、販売ルートを広げるのは難しい。そこで彼は、美しいトランスジェンダーのレイヨンを仲間に引き入れる。日本をはじめ、世界中から仕入れた薬をさばくために考え出したシステムが「ダラス・バイヤーズクラブ」だった。会費を募り、必要な薬を無料で配る。名目的に薬の売買はない。その彼らの前に立ちはだかったのが、AZTを推奨し始めた医師たちと製薬会社に政府。ロンは、弁護士を使い、 “個人の健康のために薬を飲む権利を侵害する”国の動きに対して徹底抗戦の構えをとる。彼を見殺しにしようとする世界に対する戦い。一人の男が、生きる権利のための戦いに挑んでいく。


「政府と製薬会社に一人戦いを挑んだ男の感動の《実話》」。HIV陽性で余命 30日と宣告されてから、必死で生き延びる道を探り、7年間生きたそうです。

いろいろ考えさせられました。エビデンスレベルが最も高いとされる二重盲検、プラセボ対照試験は、本当に患者さんのためになっているのか? そもそもエビデンスって誰のため?「承認」ってそんなにエラいのか? 今の制度は本当に患者さんを救うものになっているのか?

わたしは治験翻訳にかかわっているし、いい薬を患者さんや医療現場に早く届けたいという製薬会社の善意を信じる者ではあるけど、会社なので所詮はビジネス。相当なゴリ押しもあるだろうし、現に、データ改ざんによる誇大広告も今まさに大問題になっている。

患者さんにしてみれば、効果があって毒性の低い薬を手に入れたいだけなのに、その機会を制度に阻まれるとあれば、制度って何のため?ということになる。映画でも、そのことに悩む医師が辞職していた。

自分を守れるのは自分だけ。いろんな情報に頼りすぎず、惑わされず、いつでもしっかり自分の目を開いていないと、と思いました。

まどさん

2014.03.01.Sat
詩人のまど・みちおさんが亡くなりましたね。
残念でなりません。

偶然、先週の土曜日に、この本を買ったばかりでした。

madomichio
(新潮社のサイトより画像をお借りしました。リンクしておきます。)

ページをめくってみると、「宇宙」という言葉がよく出てきます。
自分を生かしてくれている、大きな意思としての「宇宙」について、よく語られています。

だれに向かって書いているかと問われたら、
それは、私を私として生かしてくれている何かに対してです。
その「宇宙の意思」のようなものに対して、
お礼をこめて自分の痕跡を残したい。
私の詩は、「今日はこのように生きました」っちゅう
自然や宇宙にあてた報告なんだと思います。


あんなに易しい言葉で、あんなに上等な詩が書ける人なんて、ほかにはちょっといないんじゃないでしょうか。
まどさんの詩を、翻訳など通さずに読めるのは、日本人として幸せだと、わたしには感じられます。

生まれたところがだけがふるさとではなく、
死んでいくところもふるさと。
宇宙をふるさとにすれば、
一緒のところになります。


まどさん、宇宙に帰っちゃったんですね。
寂しいです。

機序

2014.02.02.Sun
昨年あたりから糖尿病の仕事が増えていると聞いた。確かに知り合いの同業者にも一人ならず、糖尿病の仕事を抱えている人がいる。わたしも、ちょっとだけ抱えている。

ふーんと思ってたら、今、糖尿病の新しい作用機序の新薬が申請ラッシュなんですってね(遅い!)。道理で。

どんな機序なんだろ? と興味を持ちながらも放置していたのですが(そういう仕事の機会は、まだなかったし)、そのうち一つの薬に関する仕事で薬理の項を担当することになって、ちょっとだけワクワクしています。

お医者さんも選択肢が増えて大変でしょうけど、この薬にも、ぜひ、臨床で新戦力として活躍してほしいものです。

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