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「知的文章とプレゼンテーション」

2012.05.20.Sun
以前にこのブログで「医薬品クライシス」という本をご紹介したことがありますが、その本の著者である佐藤健太郎さんのブログで、しばらく前に紹介されていた「知的文章とプレゼンテーション 日本語の場合、英語の場合」(黒木登志夫 著、中公新書)という本を読みました。著者は、がんの研究者として40年にわたって論文執筆と審査にかかわってこられたそうで、文章については現場で鍛え上げてきた方だといえます。

 個人的におもしろかったのは、「日本語は非論理的か」という章。「英語は論理的だけど、日本語は非論理的」というようなことは、これまでにもよく言われてきたように思います。でも、わたしは、その手のことを聞くたびに「そうかなぁ???」と違和感を抱いていました。日本語が非論理的と言われてしまうのは、単に、日本語で論理的に書く訓練を誰も受けていないからというだけなんじゃないの?と。わたしもその一人なので、今仕事で苦労しているわけで・・・いやいや、人のせいにしちゃいけないんですけど(汗)。それに、日本語は非論理的、なんて、日本語のネイティブとしては悔しい。そんなことはないと思いたい!というのもありました。

 なので、「これまで、論理的な文章を書きつづけてきたと自負している一人として、私は日本語が非論理的であるという意見には、簡単に賛成できない」と、著者がおっしゃっているのにはスッとしました。その上で、日本語が非論理的と言われる理由が挙げられていて、さて、では論理的な文章を書くにはどうするか、が書かれています。

 著者ご自身も書いておられるけど、木下是雄の「理科系の作文技術」は相当に意識なさったようで(同じ中公新書だし)、あちこちで引用されていたり、時たまですが反対意見が書かれていたりしているのが、とても興味深かったです。

 あと、このほかに、これまで論文や申請書を書いたり、論文を審査したりしてきたご経験について書かれているのも、著者ならではの裏話っぽくておもしろかったです。「英語を書く」ということについても一節が割かれているけど、こちらのほうは、翻訳者にとっては正直、それほど新鮮味はなかったかなー。ページ数も、そんなに多くないしね。

 それにしても、著者は日本語についても英語についても、谷崎潤一郎や三島由紀夫の「文章読本」をはじめとして、かなりの書籍を読んでこられていて、その量には圧倒されました。本職の研究のかたわら、文章について考えるためにだけ、これだけの本を読んでおられることに感動しました。わたしももちろん、商売なので、この種の本は何冊となく読んできましたが、それ以上に読んでおられます。質、量とも完全に負けました。ちょっと恥ずかしい。やっぱり文章ってのは、真剣に向き合おうとすれば、誰にとってもそれだけ難しいって事なのか(-.-;) 医学に携わる方が、これだけ苦労して文章にしていることを訳す商売であるからには、わたしも「論理的で読みやすい訳文を書きつづけてきたと自負している」と言えるようにしなければ・・・と思いました。

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