スポンサーサイト

--.--.--.--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ラボのイベント

2010.11.23.Tue
 去年の事業仕分けで有名になってしまった理化学研究所の神戸研究所と(スパコン「京」が神戸のポートアイランド、通称ポーアイにあります)、その隣に並んでいる先端医療センター、さらに、少し離れたところにある甲南大学のフロンティアサイエンス学部というのが、先日の土曜日に合同で一般公開のイベントをやっていたので見学に行ってきた。そういうイベントはこれまでもやっていたそうなんだけど、わたしが知ったのは今年初めて。去年仕分けられて、広報活動に励んだのかな? 甲南大学は、オープンキャンパスも兼ねてのことかもしれない。ここは、まだできてから2年の学部だそうです。

 どの施設も、講演や模擬講義や実験体験をいろいろやっていて、どれを諦めるかは相当迷いました。たぶん1日いても飽きない。とりあえず、行けそうなのに行こうと思って昼過ぎに着いてみると、行きたいなと思っていた先端医療センターの施設見学ツアーは、どの時間枠もすでに予約が満杯に達して申込みが締め切られてました。人気なのね。なので、理化学研究所の「分子よ、光れ!」というショートレクチャーへ。

 会場は定員100名か150名ほど?だったけど満杯。講演台に立った研究員さんは、最初こそ緊張気味に話し始めたけど、だんだんヒートアップしてきて、予定時間40分を超過して1時間近くの講演になった。これが、わたしの仕事内容にも近い話がけっこう出てきてすごく面白かった。

 PET検査を知ってる人は多いと思う。何かの分子に、放射線を出す原子を化学合成でくっつけて体内に投与すると、外からその分子の動きを観察できる。その分子が、がん組織に集まる性質を持つなら、がんの場所を特定できる。話としては単純だけど、これが大変なことなのです。

 とにかく、化合物を作るというのが、まず、すごく難しいらしい。それに、化合物ができるまでの化学反応は、普通にやると数時間かかる。でも、この放射性原子は短命で、数分から数時間で放射線が消えてしまう。というか、安全のためにそういうものが選ばれている。なので、放射線が消えてしまわないうちに化学合成でくっつけて使えるようにしないといけない…というあたりから始まって、様々な苦労話をしてくれた。化学反応を早める、ということからノーベル賞のクロスカップリングの話も出てきた。ちなみに,パラジウムが触媒に使われるのは、これが元素周期表の横列のちょうど真ん中あたりにあって、電子を受ける性質と渡す性質の両方をバランス良く兼ね備えているからだという話もしてくれて、なるほどぉ、と大いに納得した。

 この放射性原子を使った実験のことは、わたしの仕事でもけっこう頻々と出てくる。薬の開発では、開発中の薬に放射性原子をくっつけてラットなどの小動物に投与し、体外に出てくるまでの動きを排泄物の放射能から推定することが多い。講演では、放射性原子をつけた化合物を、正常なラットと肝機能に問題があるラット(薬の代謝に重要な臓器だから)に投与したときの動画がパワーポイントに埋め込まれていて、投与後の薬の実際の動きを見せてくれたものだから「おおっ!」と興奮。あそこで一番興奮したのは、あの会場内ではわたしだったかもしれない。文字でしか知らなかったことを見ることができて、ちょっと感激だったなー。

 あと、放射性原子をくっつける施設の写真も見ることができた。だいたいはロボットの遠隔操作で、当然だけど厳密な管理下で作られている。そういうのも、とても興味深かった。仕事で出てくるとは言っても、実際の文書にはそんなことまで書かれてないし。放射性原子をくっつけた化合物は「標識化合物」という。英語ではlabelled compound。このたった2ワードの背後に、こんな苦労があったのかーというのを初めて知って大満足だった。

 その後は甲南大学に行って、いろいろと研究体験をさせてもらったんだけど、長くなったので詳しくは省略。こちらもけっこう人の入りが多くて、もと科学少年?と思われるおじさんもたくさん、嬉々として「体験」に参加していた。生きている細胞を顕微鏡で観察したり、シャーレに大腸菌を実際に撒いたり、蛍光顕微鏡の見学では、2年前のノーベル賞の緑色蛍光タンパクで染めた細胞を画面で見せてもらったり、原子間力顕微鏡という、恐ろしく繊細な装置を操作させてもらったりもした。この原子間力顕微鏡では、ほんの1ミリぐらいのプローブを使って、数ナノメートル単位で物質を測定するんだけど、このほんの1ミリのプローブが、1個5000円ぐらいするらしい。あまりに繊細なので、5ミリぐらいの距離で落とすと(ピンセットでつまみそこねたときとか)それだけで壊れる。しかも当たり外れがあって、「いい」プローブは、みんなで大事に使い回すんです、というような、いろいろな裏話をしてくれて面白かった。研究って大変です。

 他にもいろいろ見損ねたプログラムは多いし、講演ではその時々で旬の話題も聞けそう。来年も行きたいなぁ。




にほんブログ村 英語ブログ 英語 通訳・翻訳へ
にほんブログ村
スポンサーサイト
コメント

管理者のみに表示
« 失敗 | HOME | 知りたい »
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。