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事後確率

2012.02.03.Fri
 唐突ですが、事後確率ってご存じでしょうか?わたしの場合、言葉だけは一応聞いたことはあるし、過去の翻訳原稿にチラッと出てきたような記憶もかすかにありますが、言うまでもなく実際にはよくわかっていません。その事後確率が今読んでいる本に出てきて、つまりはこういうことなのよと、以下のように説明してくれました。よくご存じの方には退屈な話になります。申し訳ありません。

 まず、なんでもいいのですが問いがあり、その回答としてA、B、Cの3つの選択肢があって、そのうち1つが正解、残りの2つが不正解とします。この時点で、それぞれの選択肢が正解である確率は、どれも等しく3分の1です。そこで、とりあえずAを選択するとします。

 ここでヒントとして新たな情報が追加されます。2つの不正解の選択肢のうち1つを消しますということで、選択しなかったBとCのうち、Bが選択肢から消されました。残された選択肢であるAとCから、もう一度「正解」と思うものを選び直すことができます。この場合、AとCが正解である確率は等しく2分の1でしょうか?

 もちろん、どっちも2分の1だろう、とわたしは思いました。ところが違うそうなんです。Aが正解である確率は元のままの3分の1、Cが正解である確率は3分の2になるそうなんです。なんで~~??(涙)

 それはこういう理由だそうです。まず、最初に選んだAが本当に正解である場合、残りのBもCも不正解なので、Bが選択肢から消される割合は50%です。

 でも、もしCが真の正解なら、最初に選ぼうとしたAは不正解のうちの1つであり、残りのBとCのうち、不正解はBだけになるので、Bが選択肢から消される割合は100%になります。

 だから、Bが消される可能性は、真の正解がAかCかによって変わってきます。Cが正解であった場合、Bが消される可能性は、Aが正解であった場合と比べると2倍にもなります。したがって、AではなくCを選択するべきという結論になるそうです。ややこしい話です。

 この話のネタ元は、「ダイバーシティ 生きる力を学ぶ物語」山口一男 著、という本です。物語というか、ある女の子を主人公にした寓話仕立てです。どういう話かというと、上に書いた事後確率のほか、「囚人のジレンマ」、「共有地の悲劇」、「予言の自己成就」、「アイデンティティ」、「ダイバーシティ」、「カントの道徳哲学」、「規範と自由」、「統計の選択バイアス」のような社会科学の概念が盛り込まれていて、ある望みをもつ女の子が旅をする過程で、それぞれの概念を現実として体験しながら、その一つ一つの体験について自分なりに深く考えながら成長していくという物語になっています。ゆっくり考えながら読むとおもしろいと思います。興味のある方は、手にとってみて下さい。この女の子の話のほか、別の話も書かれています。

 事後確率については、この物語を読んだあと、実は日常生活でもしょっちゅう体験していることなんだなということが腑に落ちたような気がします。ある条件で一つの選択をしようとしていて、別のファクターが加わった場合、いくつかある選択肢のうち、そのうちのどれかが自分にとっての正解になる確率は自然に高まる、ということはよくあることです。そういうふうに考えると、事後確率の考え方は、実は感覚的にはスッとわかるものなんだなぁ、と。なぜか数字がからむと、究極の文系人間のわたしには、ぜんぜんわからなくなってしまうのですけど

ダイバーシティダイバーシティ
(2008/07/11)
山口 一男

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コメント
紹介感謝
Nobaraさん
   拙著の紹介、感謝します。著者です。毎日の潮田さんのコラムを読んで本も読んでいただいたのではないかと想像します。
   事後確率、不確定性のある事柄について、特に予想外の新たな情報が加わるとその後の予想が大きく変わります。最近では、東北大震災が起こって、今後の大地震の予想確率が大きく変わりましたね。でも、こんな大災害が起こって多くの犠牲者がでる前に、それまでの小さな情報の積み重ねから今回の事もと早く予知して、対策がうてなかったのかと、地震学者の猛省を促したいです。事後確率の大きな応用の一つはリスク管理なのですから。

  
Re: 紹介感謝
山口一男 様

 こんな零細ブログにコメントをいただき、ありがとうございます。御著書は大変興味深く拝読しました。後半の日米比較も、いろいろと考えさせられました。

 地震についてせっかくの知見が生かされなかったことは残念なことです。過去に阪神大震災もあったのですからなおさらです。事後確率のような応用範囲の広い技術(といっていいのかどうかわかりませんが)が広く生かされるようになることを願います。

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