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「ヴェネツィアの宿」

2009.04.22.Wed
須賀敦子 「ヴェネツィアの宿」を読んだ。

ヴェネツィアの宿 (文春文庫)ヴェネツィアの宿 (文春文庫)
(1998/08)
須賀 敦子

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須賀敦子の本を読んだのは初めてだったけど、大変素晴らしかった。著者のことは、これまでほとんど知らなくて、兵庫県の出身だということも初めて知った。なにやら有名な人らしいのに、本を読んでいるとあちこちに神戸とか夙川とか小野とか馴染みのある地名が出てきて、一気に親近感を覚えた。

自伝的な物語12篇。留学したときのことや、ご家族のことが描かれている。特に印象深かったのは「父」のこと。最後の「オリエント・エクスプレス」のカップを持って帰る件では、(電車の中で読んだものだから)涙が溢れそうになるのを抑えるのに実に苦労した。ぜいたく好きで自分勝手で、一時は別宅まで持って母を苦しめた父に、思春期の著者が反発を覚えたのは当然だろう。しかし、その後の人生の中でさまざまな側面を見出し、いつか和解している不思議さ。家庭環境などの違いはあっても、誰の身にも十分過ぎるぐらい覚えがあることなんじゃないかなと思う。

私自身も十代のころは、父には反発ばかりしていた。ご多分にもれず家では自分勝手だったうえ、ちょっとしたことですぐに声を荒らげる父には、いつもビクビクしていた。ずいぶん殴られもしたので、「大人になって独立したら、二度と口もきくまい」と固く心に決めていたものである。だが、意外に筋目の通ったところもあることには、ひそかに気づいていたような気がする。

自分が勤めるようになると、父も苦労したんだろうなぁということに、ようやく思いが至るようにもなり、それまで知らなかった父の姿を少しずつ再発見するようになった。そして、なんだかんだ言っても、生真面目で働き者で、意外と人懐こく、時に暑苦しいぐらい世話好きという、自分が子供の頃には思いもかけなかった父の人物像を認識し、なんと誇りに思うようにさえなった。人生、何が起こるかわからない。著書を読みながら、改めてそんなことに想いを向けていた。

そういうわけで、かなり感動したので別の著書も読みたいなと思っている。

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コメント
須賀敦子さん、大好きです。
河出文庫から全集が出ているので、ぜひ他の作品もお読みになってください。
これを読んで、なんでもっと早く読まなかったのかと後悔しました。なかなか他の作品を読めないでいるのですが、早く読みたいです。


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