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新薬開発の舞台裏

2010.02.23.Tue
「医薬品クライシス」(佐藤健太郎 著、新潮新書)を読みました。

もう、とっくの昔にお薬業界の方たちがブログなどで紹介しておられますし、何より著者ご自身もブログに書いておられるので、今更わたしなんぞが何を書こうがどっちでもいいようなものなんですけど。だいたい、遅すぎ・・・。でも、すっごい面白かったのです。先日出かけたときに、電車の往復で読んでいたのですが、夢中になったあまり帰りの電車で降りる駅から2駅先まで乗り過ごしてしまったぐらい。

いやー、すごいなぁ・・・というのが素人の感想です。テレビのCMで「新薬の開発に世界最大級の研究開発費を投じています」と流れる会社がありますが、その会社の、まさに金に物を言わせる買収のことなどが書かれていて、なんかすごすぎてドキドキしました。一応、末端の末端で仕事としてお薬のことに関わっているとはいえ、企業間の買収だの売却だの合併だの提携だのといった業界の背景的なことは、よく聞くなぁ、という感じではあったのですが、不勉強もあって全然詳しく知らなかったのです。以前から「吉川医薬経済レポート」というメルマガをとってはいたのですが、ふぅん、と読み流す程度だったし。でも、この本を読んだあとに来た号を読むと、以前より数倍面白く読めました。

でも、やっぱり感動したのは、研究者の方たちの思い入れのすごさですね。リピトールという、世界で一番売れている高脂血症薬は、すでに同じカテゴリーの薬がいくつか世に出ていたので、研究を打ち切られそうになったらしいのですが、担当していた研究者が全役員の前で熱弁をふるったあげくに土下座(に近いこと)をして研究の継続を訴え、ようやく臨床試験が認められたらしいです。「この薬、うちのおかーさんも飲んでるよ・・・」と思いながら(うちの母も高脂血症なのです)その話を読んだので余計に、そういう背景があったとは、とビックリ。他にも、特許の公示がわずか2週間遅かったために、それまでの努力がすべて水泡に帰し、研究チーム全員がショックのあまり声も出ず、真っ暗になるまでへたりこんだまま、電灯をつけることも思い浮かばないほど打ちひしがれたという話や、あるいは、かつて研究テーマの打ち切りを告げられた研究者は、「おまえのようなサイエンスの素人に何がわかる」と社長を怒鳴りつけ、泣くわわめくわ大変だったという話など、研究者の人たちは、自分の全存在をかけて取り組んでいるんだなぁと思います。

新薬が生まれにくくなった状況にもページが割かれていて興味深かったです。その理由の一つには、安全性のハードルが非常に高くなっていることがあるようです。薬が必要なら仕方なく飲むけど、副作用はまっぴらというのが人情ですし(わたしも当然そうだし)、過去に数々の薬害も起こっているしで、副作用に対する対策はどんどん進んでいるのですが、著者は「副作用に対するリスク意識は、やや過剰になってしまっているように思われる」と考えているようです。薬はしょせん欠陥品、と言い切っているのですが、読んでいくと真意がわかって、なるほどなーと納得します。

新書は新書だなーというところもありますが、735円なら安い。おすすめです。




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コメント
こんにちは。

この本とても面白そうですね!
お薬業界にも興味があるので
私も読んでみたいと思います。

今さらだなんてとんでもないです。
今回記事でこの本を知ることができました。
ありがとうございます。

今後もおすすめの本がありましたら
ぜひ紹介してください。
楽しみにしています。
ルカさま

コメントをありがとうございます!

> 今回記事でこの本を知ることができました。
> ありがとうございます。

そうですか。それは良かったです(^^)

> 今後もおすすめの本がありましたら
> ぜひ紹介してください。

はい、がんばりますー。

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