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プライドと陶酔

2010.05.05.Wed
ジェーン・オースティンの小説みたいなタイトルですが、ぜんぜん関係ありません。

久しぶりに連絡をくれた友人(前回記事)というのは抽象画家で、個展の案内をくれたので画廊に訪ねて行きました。数年前まで個展の案内を欠かさずくれていたのですが、わたしが自分の仕事でアップアップして行けないことが何度か続き、そうなると案内を出すのも遠慮させてしまったのでしょう。連絡が途切れてしまっていました。あー友達失くした・・・(涙)と思っていたら、案内ハガキが久々に舞い込んだので、喜んで行ってきたわけです。

もう何年も作品を作り続けている人なので、何よりもそのことに感動してしまいます。そのことを言うと「わたしアホやからなぁ」と笑うのですが、友人だって、しんどい生活を抱えながらのことですし。

絵というのは、その物を見た人がそれを「絵」と認め、価値を見出さなければ成り立ちません。友人はけっこうハードな抽象画を描くので、作品に対して理解を得るのはなかなか難しいようなのです。正直なところ、わたしも彼女の作品に向き合うのはちょっと苦しい。優しい絵ではないのです(これは価値とは別の問題なので、価値を感じていないということではありません。むしろ、ラディカルに人の心を動かすという点で、まぎれもなく「絵」だと思います)。ここ2~3年で、ようやくコンスタントに売れるようになったらしいのですが、それまでは1枚たりとも動かなかったといいます。それを描き続けられてきた原動力は、何なんだろう。

わたしが仕事をがんばれるのは、成果物を必要とする人が確実に存在するからです。そう思うから、読み手の必要性に応えられるように自分なりの工夫をいろいろと重ねているわけです。工夫といっても、わたしのレベルではたかが知れていますし、求められる水準を満たせるかどうかはいつも不安です。理想の水準と自分のレベルのギャップに悩みながらの作業なので、作業中も、ああでもないこうでもない、これでいいのかなぁと悩みが尽きません。納品時にメール送信ボタンをクリックするときには「本当にそれでいいのか?」と、どこからともなく駄目押しのように声が聞こえてくるのですが、納期なので青くなりながら送信する、その繰り返しです。そんなだから、仕事を依頼されると、前回納品分が一定水準に達していたと言ってもらえたような気がしてホッとします。だから、ゴールデンウィークだろうが何だろうがホイホイと引き受けてしまうのです。

そんな仕事ぶりではあるのですが、とにかく(たぶん)必要とされている文書ではあるわけです。だからがんばれる。でも、ひどい言い方かもしれませんが、そもそも必要とされているのか、求められているのかどうかもわからないものを作り続けるって、どんな気持ちなんだろうと思ったのです。

友人が言うには、一つ一つの作品、一回一回の個展は通過点に過ぎない。それぞれを作っている間や作った後に、もっとこうしよう、ああしたいという課題が次々と見えてくるので、それを追いかけているだけだと言います。うーん、それは翻訳の仕事にも通じる部分があるなぁと思います。一回一回の仕事で必ず足りないところが見えてしまうので、次の仕事はどうやったらもう少し良くできるかなと、いつも思っていますから。

また友人は、絶対に自分以外の誰にもできない物を作っているという強いプライドがあって、それに支えられていると言います。そして、作品を作っているときは、作っている自分に陶酔していると。その自己陶酔がないと、作品なんて作れないと。

すごい自己肯定感だなぁと思います。わたしは自分に自信が持てたためしがないので、このあたりになるとよく分かりません。でも、プライドに支えられているというのは、少し分かるような気がします。友人の言うプライドとは性質が異なるだろうとは思いますが。

わたしが携わっているような種類の文書では、「絶対にわたし以外の人にはできない」訳が求められることは少ないと思いますし、そもそも自分にそんなことができるわけがなく、一定の品質のものを提供しようとするだけで今のわたしには精一杯です。むしろ代わりの人はいくらでもいると思いますし。でも、提供するために必要なことや、できることはすべてやったし、その時点の自分にとっての最適解を出したぞという、そういう矜持はもっていたいなと思います。また、それがないと仕事を続けていくうえで気持ちがもたないだろうなとも思います。

もっとも仕事を請ける以上、できることを全部やるとか、そんなのは当たり前ですね。それを指して矜持と言うのも、おこがましいような・・・。なんかよくわからなくなってきました。難しいですね。




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